白糸刺しゅう

初の著書が発売になります

パントン久美子

7月12日に初めての著書が発売になります。

本のタイトルは「WHITEWORK」。タイトル通り、白糸刺しゅうに特化した刺しゅう本です。

憧れの文化出版局様より、発売になります。

本の表紙はヘデボのドイリーです。

去年の夏に日本に一時帰国をしたときに本が出版できることになったのですが、編集者の方との打ち合わせで「刺しゅう本にありがちなほっこりした感じや甘い感じにはしたくない。モダンでシンプルな雰囲気がいいです」とリクエストをしました。

私の本を担当してくださったのは、ベテランの編集者の方で素敵なカメラマンさん、ブックデザイナーさんでチームを作ってくださり、甘くないモダンな雰囲気の白糸刺しゅう本が完成しました。

3月に約2週間日本に行き、本の撮影をしました。カメラマンさんもブックデザイナーさんも全員女性の方だったので、撮影の現場でのお喋りも楽しかったです。

白糸刺しゅうは知名度が低いので、白糸刺しゅうを知らない方にもこの本を手を取ってもらい、中身をパラパラ〜って見て直感的に「刺したい!」って思ってもらえるといいなと思い、古典的すぎない図案を多めにしました。

私はヨーロッパに住んでいる期間が長く、またフランス人の義理の家族と交流する中でヨーロッパ各国で刺しゅうがどのように生活に取り入れられ、伝承されてきたのかを身をもって感じてきました。白糸刺しゅうはヨーロッパ各地で発展した手芸で文化でもあり、使われるモチーフや材料、針運びなども現地のやり方に忠実に伝えたいという気持ちが強くあります。なので、ヘデボはデンマークで習ったし、シュバルムもレティチェロも現地の先生に習い「本場のステッチ」を受講者の方にはお伝えしてきました。

古典的なシュバルムで画像のような十字架をモチーフを刺すかと言われたらNOなんだけど、今回はこんな感じで図案を見てかわいいって思ってもらえるような作品を入れました。

これは私的は大きなチャレンジ。「伝統的な図案」から大きく外れるような作品は作ってこなかったので、図案を起こしながら少し迷いもありました。でも完成したら、そこまで白糸刺しゅうの枠からはみ出ていないように見えたので少しホッとしています。

私がヘデボに出会えたのは、偶然に本屋さんで見つけた佐藤ちひろさんの刺しゅう本のおかげ。出版されたばかりでたまたまレジの近くに積まれていて目に入って、かわいくて思わずその本を購入しました。当時は編物を習っていたし、幼少期から手先が器用な自覚もあったけど、あのときあの本に出会わなければ今の私はないと思うのです。

私の本も、白糸刺しゅうを知らない誰かが本屋さんで偶然見つけて、白糸刺しゅうの存在を知って、沼ってもらえたら嬉しいなと思います。そんな人が1人でもいますように、と心の中で願いながらこの本の作品を作りました。

SNSもインターネットも便利だけど、やっぱり自分の好きなことしか検索はできないし、SNSも自分の閲覧履歴にカスタマイズされた範囲でしか情報は出てこないので、まったく白糸を知らない人にお届けできたら嬉しいな〜。もちろん、白糸刺しゅうをすでに知っている方、私の講座の受講者の方にも見ていただけたら嬉しいです!

今回、本を出版させてもらえることになり、本を作るプロセスを知れてすごく楽しかった!そして、文化出版局さんから出版できてほんとによかった!

文化出版局の私の担当編集者の方も、校閲の方も、みんな文化出身の洋裁や刺しゅうのプロ。プロセスページを作ってくださった方も文化出身の方で、本当に心強かった。私は仕立てが苦手だし、ちゃんとに勉強したこともないので知識が断然足りないんですね。。でも、皆さんのおかげで作り方ページもきちんとしたものになりました。

当たり前なんだけど、この1冊の本を作るのに多くのプロフェッショナルの方が携わってくれています。それを考えると1冊2000円なんて安すぎると思いました。海外だと手芸本はもっと高いので(自費出版みたいな人が多いからかもしれないけど)日本も世界の標準に合わせられるといいなと強く思いました。

よかったらアマゾンで見てみてくださいね。本の中の作品もいくつか見れます。

WHITEWORK

2024年7月12日に発売です♡

ABOUT ME
パントン久美子
パントン久美子
デンマーク在住 白糸刺繍家
2009年スカルス手工芸学校に留学しヘデボを学ぶ。2012年〜2017年まではパリ在住。ルサージュやフランスの白糸刺繍教室で刺繍を学ぶ。2024年7月文化出版局より「whitework ヨーロッパの白糸刺繍技法より」を出版。現在はコペンハーゲン在住。
記事URLをコピーしました