白糸刺しゅう

オンライン刺しゅう動画講座:Hedebo講座

パントン久美子

デンマークの白糸刺しゅうヘデボの6つのテクニックを学ぶ講座です。ほぼすべての技法を使って大きなサンプラーを作ります。

「講座の受講後に白糸刺しゅうの本を見て一人で刺せるようになる」ということをゴールに掲げております♡本や図案を見て、自分一人で白糸刺しゅうの作品を刺せるようなりたい人にはすごくよい内容に仕上がっています。

ヘデボは面白い刺しゅうで、時代によってステッチが変わります。ぜんぶで7つのステッチがあるのですが、ぜんぶをひっくるめてヘデボと呼びます。

日本ではヒーダボーと書かれることもありますが、デンマークではヘデボと言われるのでヘデボで良いと思います。

この講座ではほぼすべてのテクニックを学びます。なぜ「ほぼ」をつけているかというと、7つ目のテクニックは入れていなからです。7つ目のテクニックは、ヘデボスティックという棒を使ってニードルレースのようにモチーフを編むシューエデブロンダという技法です。

このヘデボスティックは簡単には入手できないお道具なので、このヘデボ講座ではシューエデブロンダは入れていません。

でもシューエデブロンダはまぁまぁ特殊なので、この講座に入っている6つのテクニックが刺せるようになれば自由にヘデボの作品はお作りいただけます!

ヘデボの6つの技法

テレシューニング(1700年代前期〜)

カウントステッチと呼ばれる布の織り糸を数えながら刺していく刺しゅうです。一番原始的なステッチで、デンマークだけでなくヨーロッパ各地の刺しゅうにも見られます。

面白いのは国(地域)によって、刺しゅうのモチーフが変わるんですね。カウントステッチは布の織り糸を数えながら刺すので、曲線が少なくなるのですが、イタリアのカウントステッチはお花模様が多く見られます。そして、曲線風なデザインがよく見られます。対して、デンマーク(スカンジナビア)は直線的なデザインが多いです。

デンマークのヘデボだとノルディックスターという8つの角がある星がよく見られます。

国によって針運びが少し違うのも面白いです。

ヘデボ講座の中では、ヘデボでよく見られるノルディックスターを入れています。少し小さな星も刺しますが、2つの刺し方をご紹介しています。

ドラウヴェアク(1700年代後半〜1840年頃)

ネットとかフィレとも言われる技法です。布から織り糸を抜いてネット状になった部分に七宝かがりやダーニングステッチなどで模様を入れていきます。

クロスステッチの図案を刺してもかわいいです。古い作品を見ると、ライオンとか孔雀などの動物のモチーフやお花などが多いように感じます。

ヘデボ講座では、雪の結晶風なモチーフを七宝かがりとダーニングステッチの両方のステッチで刺します。画像は、上の画像です。

このネットの作り方を覚えておけば、中の模様はクロスステッチの図案が使えるので意外と汎用性があるステッチです。

ルーデシューニング(1800年〜1840年頃)

rudeとは四角形という意味です。小さな四角形を使って模様を作ります。これも動物や鳥などのモチーフから数字やアルファベットでイニシャルを入れていたり。図案を見ると簡単ではあるのですが、糸の抜き方が少し独特です。

ヘデボ講座では王冠のモチーフを刺します。画像の下の部分です。

ルーデシューニングは他のステッチと合わせてもかわいいです。ルーデシューニングとテレシューニングを合わせてもいいし、イニシャルや年号だけルーデシューニングで入れてもかわいいです。図案を考えようと思うと、パターンがありすぎてなかなか決まりません😅

ヴィズスム(1820年〜1840年頃)

のびのびとした図案、きれいな曲線がポイントの技法です。上の3つは、布の織り糸を数えて刺すステッチでしたが、ヴィズスムは布に直接、図案を描くことで曲線を刺すことができるようになりました。ヘデボ刺しゅうの発祥の地、ヒース地方はチューリップが名産なので、チューリップなどのお花模様が多く見られます。チューリップというとオランダというイメージがありますが、デンマークでもチューリップが栽培されています。

余談になりますが、デンマークは1月頃になるとお花屋さんでもスーパーマーケットでもあちこちでチューリップが売られます。そのほとんどが国産のチューリップです🌷

ヘデボ講座の中では、両脇にヴィズスムを入れました。すごいかわいいです。受講者の方の中でも、ヴィズスムが好きな方が多く、私もヴィズスムがすごく大好きです!

このヴィズスムは、ドイツのシュバルム刺しゅうに大きな影響を与えたと言われている刺しゅうです!

バルデュアリング(1840年〜1855年頃)

布に1cm四方くらいの穴を開けてその中に模様を刺します。

イタリアのレティチェロからきたものです。レティチェロとは枠の作り方などが違い、デンマーク流にアレンジされています。ヒースの人々が「レティチェロのこういう部分はもっとこうしたほうがきれいよね〜」とか言いながら改良したんでしょうね!

ヘデボ講座では難しいステッチは抜きで、枠の作り方をメインに学びます。バルデュアリングは、ステッチの周りにサテンステッチをメインにしたお花模様などの装飾を入れることがほとんどです。講座ではアイレットという丸い小さな穴の開け方も学びます!

ウズクリプスヘデボ(1850年〜1870年頃)

みんな大好きウズクリプスヘデボです🎵ヘデボと聞くとこのステッチを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?!

布を丸や涙型に切り込み、中にボタンホールステッチで模様を入れる技法です。華やかで美しいですよね〜。布に切り込みを入れるので、目の細かい布に刺すのが一般的で、サテンステッチなどのステッチを使ったお花などの装飾と共に刺されることが多いです。

ヘデボ講座では基本の円形を作ります。スカラップと呼ばれる半円、リックラックと呼ばれる三角形の両方を使った模様を刺すので、この小さな円を刺すだけで基本的なステッチは学ぶことができます!まわりにはプチプチっとしたステッチを入れます。

お仕立てをして完成

ヘデボのステッチが完成したら、周りにスリーサイドステッチを刺します。フォーサイドステッチはよく見ますが、スリーサイドステッチは珍しいですよね!できるだけ日本の刺しゅう本に載っていないステッチを採用したいと思い、スリーサイドステッチにしました。

布の周りには縁に模様を入れます。ウズクリプスヘデボで出てきたスカラップを刺しましょう。

これで完成!となります。

結構ボリュームのある講座です。動画は7時間を超えてしまいました。受講期間は1年間あるので、ゆっくりとご自身のペースで進めていただけます。

おわりに

ヘデボをきちんと学べるお教室やレッスンは少ないので、動画講座を作るなら絶対にヘデボから作ろうと思い、一番初めに作った講座になります。ヘデボなどの白糸刺しゅうを刺したことがない方に楽しんでもらえるように、動画内では詳しく説明をしているのはもちろん、補足の資料も作りました。

白糸刺しゅうを刺し始めたばかりの頃、すてきな白糸刺しゅうの本を買って「さ〜作るぞ〜!」って本を開いても「で??何から始めたらいいの?」って思うことがよくありました。なので、私の講座では、ほぼすべての工程を動画に入れています。

ヘムステッチを布1周刺したりするときなどはカットしますが、重要な部分はすべての工程を動画内でご覧いただけます。また補足の資料では色分けしたり、テキストで見た方がわかりやすいことはテキストでも説明を入れています。下の画像は補足資料の中の1ページです。

この補足の資料だけでも40ページを超えています😂「とにかくわかりやすかった!」という嬉しい感想もたくさん頂戴している講座になりますので、安心してご受講くださいね。

ABOUT ME
パントン久美子
パントン久美子
デンマーク在住 白糸刺繍家
2009年スカルス手工芸学校に留学しヘデボを学ぶ。2012年〜2017年まではパリ在住。ルサージュやフランスの白糸刺繍教室で刺繍を学ぶ。2024年7月文化出版局より「whitework ヨーロッパの白糸刺繍技法より」を出版。現在はコペンハーゲン在住。
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